自己破産したら車はどうなるの?

f:id:zeirishiegg:20200326094307j:plain

1.はじめに
私はペーパードライバー。
運転免許を取ったのはもう10年以上前の話で、以降は運転したことがありません。
今ではアクセルとブレーキの位置もあやふやです。
免許の更新を重ねてゴールドになりましたが、
その華麗なる経歴に少し後ろめたさを感じています。
地方では人口が減り、客の減少を反映してか、
ダイヤが改正される度に電車の本数が減っているように思います。
地方ではクルマの重要性は増す一方です。
そのクルマ、もし自己破産したら持って行かれることになるのでしょうか?
ここでは、そのクルマについて見ていきます。

 

2.破産すると車はどうなるのか?

まず破産の手続きを見ていきます。
破産すると、原則として破産を申し立てた人の財産は金銭に置き換えられて、
債権者に支払う金銭の原資になります。
専門的には破産財団に組み込まれると言います。
金銭に置き換えられる財産としては、
不動産や株式、保険の解約返戻金や預貯金等が挙げられますが、
車もその1つになります。
ただ、車にはローンが付いている場合など色々な類型があります。
ここでは、①車のローンを未だ払い終えていない、②車のローンがない、
に場合を分けて解説していきます。

 

2-1 車のローンが残っている場合

まず、車のローンが残っている場合です。
車検証を見ると使用者欄と所有者欄があり、
所有者欄にローン会社の記載があるときは、
以下のような処理になります。
この場合はローン会社が所有権留保の特約に従って車を持っていくことになります。
所有権留保とは、文字通り所有権が売主に留められていることを指します。
通常は売買と同時に所有権は買主に移転しますが、
特約で代金を払えない場合に備えて売主に所有権が留保されているのです。
この特約に則り、ローン会社は自動車を持って行くことになります。
尚、車検証の所有者欄がディーラー名義の場合は
ローン会社が車を回収することは難しいですが、
現実的には手元にその車を置いておくことは難しいでしょう。

 

2-2 車のローンがない場合

次に、車のローンがない場合。
例えば現金で買ったような場合や、ローンを払い終えた場合の話です。
この場合、所有権は破産申立をする人の元にあることになります。
この場合は、車の金銭的価値があるかどうかに拠ります。
先ずは査定に出して、その価値を把握することになります。
この場合、査定の金額が20万円を越えるようですと
破産財団に組み込まれて持って行かれることになります。
これに対して20万円を越えないような場合は財団には入らず、
手元で使用することが可能となります。

 

3.破産申立前の注意点 

車は生活必需品です。
仕事でも買い物でも無くては生活ができない、
そんな環境にある人も多いことでしょう。
そうすると車を守りたいがために他の支払を後回しにして
車のローンだけ払うという手段が思いつくことになるかと思います。
ただ、これは偏頗(へんぱ)弁済といって破産法では許されない行為となります。
自己破産するとは最終的には免責決定を得て
債務の責任から解放されるのを目的に動いていくわけですが、
この免責を受けることが難しくなる場合があります。
また、車を守りたいために名義を他の身内に代えるとか、
はたまた支払に困って車を売るという手段に出ることもあるかもしれません。
これらも債権者から異議が出され、
破産手続きが円滑に進まないリスクが生じますので慎みたいところです。

 

4.終わりに 

車の場合は、①ローンがある場合と②ローンがない場合で、
辿る道のりが変わってきます。
破産申立を検討している場合は、
所有されている車の権利関係はどうなっているのか、
そして金銭的な評価はどうなのかについて一度検討してみて下さい。
そしてたとえ車を手元に置いておきたいと思っても、
破産申立の直近で名義を変えたりしてはいけません。
怒った債権者が異議を申し立ててきて、手続きが難航する事態が起こりえます。
ご自身の状況を踏まえて対処するようにしましょう。