破産管財人は弁護士がなるの?業務内容とは?

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1.はじめに
破産手続きでは主な事務を裁判所に代わって破産管財人が行うことになります。
破産管財人にはどのような人が選ばれるのでしょう。

費用や報酬はどうなっているのでしょうか。
この記事では法人破産で破産管財人を務める人や破産管財人の仕事内容、報酬や費用の相場などについて説明します。

 

 

2.破産管財人とは

破産管財人とは「法人破産手続きで各種の事務を行う裁判所に選任される人」になります。
法人破産手続きは裁判所に申し立てるため、裁判所がすべて行うと思うかもしれません。

 

実際は法人破産手続きの申立てをした後に裁判所が破産管財人を選任し、破産管財人が主な事務処理を行うという流れになります。
破産管財人の詳しい事務・仕事の内容については次の見出しで説明します。

 

法人破産手続きの破産管財人は弁護士が選任されます。
なぜ弁護士が破産管財人になるのかというと、破産手続きで各種の事務を処理するためには法的な知識や実務経験を要するからです。
破産管財人は弁護士の実務経験や破産事件の内容などを考慮して、裁判所の管轄地域内の弁護士を選びます。

 

3.破産管財人の仕事内容は主に4つ

法人破産手続きで選ばれた弁護士は破産管財人として4つの事務・仕事をこなします。
破産管財人になった弁護士の仕事内容は以下の通りです。

 

破産管財人は面談をするのが仕事

破産手続きを進める際に、まずは面談が行われます。
面談は破産管財人と申立人(法人の経営者など)で行いますが、破産手続きを弁護士に依頼している場合は弁護士も交えて3人で行います。
場を設けて面談することも破産管財人になった弁護士の仕事です。

 

1回あたりの面談は20~30分になります。
面談は1度だけ行われるケースもあれば、複数回行われるケースもあるのです。
個人の免責不許可事由に該当する可能性がある場合は面接も複数回行われる傾向にあります。
ただし、法人の破産手続きはまた別ですので注意してください。

 

面談の中では申立書の記載の確認や破産手続きにいたる経緯、現在の収入、負債を負った理由などを聞かれます
破産管財人になった弁護士は法人破産手続きの申立人を糾弾するために質問するのではなく「何から着手すべきか」「優先的に処理すべき事務は何か」などを確認するために申立人にいろいろ聞くのです。

申立書や他提出書類を読んだだけではわからないこともあります。
だからこそ、最も事情に通じている法人破産手続きの申立人に面談などを通じて確認するというわけです。

 

破産管財人は資産や債務の調査をする

破産管財人のふたつ目の仕事は債務や資産の調査です。

 

法人の資産などについては裁判所に提出される書類にも情報の記載があります。
しかし、中には記載を忘れた資産などがあるかもしれません。
破産管財人になった弁護士は申し立てのときに提出された書類に沿って資産の漏れがないか等を調査します。
債務の額や契約内容、債権者とのこれまでのやり取りなどについてもあらためて調査を行うことも破産管財人になった弁護士の仕事です。

 

法人破産手続きでは資産を債権者へと配当します。
配当を平等かつ正確に行うためには、資産と債務を正しく把握していなければいけません。
資産と債務の清算がしっかり行われないのであれば、法人破産手続きをした意味自体が失われかねません。

 

法人破産手続きを適切に進めるための情報収集や調査も破産管財人の仕事になります。
個人の破産手続きの場合は免責不許可事由の調査も破産管財人になった弁護士の仕事です。
個人の破産手続きでは財産隠しなどがあると債務の免責が受けられなくなります。
個人宛の郵便物を破産管財人のところに転送して確認するなど、個人の破産手続きで債務の免責を許すかどうか調査することも破産管財人の仕事です。

 

破産管財人には申立人などに説明を求める権利があります。
調査などのために破産管財人が説明を求めることがあれば申立人は協力し必要な説明を行わなければならないルールです。
調査への協力を拒んだり説明義務を果たさなかったりする場合は処罰の対象になる可能性があります。

 

破産管財人は資産を資金化する

破産管財人は調査や申立時に提出された書類で資産を把握すると、その資産の中で換金できるものを資金化します。
資金化することで債権者に配当するためです。

 

不動産や有価証券など価値のある財産は基本的に換金対象になります。
ただ、比較的安価でしか換金できない財産については残せる可能性があります。

資産を資金化したら債権者に平等かつ適正に配当を行うことも破産管財人になった弁護士の仕事です。
配当の際は債権者同士の利害がぶつかる可能性もあります。利害調整なども破産管財人の重要な仕事です。

 

破産管財人は債権者集会で報告する

法人破産手続きの終盤で債権者集会が開かれます。
債権者集会とは債権者に対する破産事情や事務の進捗状況の説明会のようなものです。
破産管財人になった弁護士は債権者集会で破産手続きの進捗などについて報告する仕事があります。

 

債権者集会には申立人や担当弁護士、裁判官、債権者、破産管財人などが参加します。
特に質問などが出なければ5分程度で終了する会です。
ただ、財産隠しなどが疑われているケースや法人破産手続きの債権者が多い場合、破産案件が複雑な場合などはもっと長い時間がかかることもあります。