法定相続情報証明とは

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1.はじめに
相続の手続きを進めるには、戸籍を集めなければなりません。
被相続人の死亡から出生まで遡りますので、何通にもなることが多いです。
しかも、手続きの中には3ヶ月以内と期限があるものもあり、同じものを何回も取らなければならない場合もあります。
生まれてから亡くなるまで、本籍地が同じ所であれば、負担も少ないですが、本籍地を転々としている場合は、全てを集めないといけませんので負担も大きくなります。
そのような場合に便利なのが、法務局で発行してくれる法定相続情報証明というものです。
別名、一覧図とも言います。
ここでは法定相続情報証明について見ていきます。


2.法定相続情報証明とは
法定相続情報証明は法務局に申請して作成してもらいます。
具体的には必要書類を収集して、相続関係図を作成して法務局に申請します。
その図に法務局が認証印を押印します。

■必要書類
必ず用意する書類
・被相続人の戸籍謄本等(出生~亡くなるまで)
 戸籍・除籍・原戸籍とありますが、戸籍等としています。
・被相続人の住民票の除票
・相続人の戸籍謄本(又は抄本)
・申出人の住所氏名がわかる公的書類(運転免許証等)

必要となる場合がある書類
・相続人の住民票
・専門家に頼む場合は委任状

■法定相続情報証明の管轄
法定相続情報証明はどこの法務局に申請してもいいわけではありません。
管轄があり、その法務局で申請します。

・被相続人の本籍地
・被相続人の最後の住所地
・申出人の住所地
・被相続人名義の不動産の所在地
 
■手数料
法務局に申請する費用は無料です。
法定相続情報証明の通数も、何通請求しても無料です。
専門家に依頼する場合は、その手数料が必要です。

■再交付
法定相続情報証明は、再交付ができます。
申請した法務局に再交付の申し出をすると、必要な枚数だけ発行してもらえます。
費用は無料です。
ただ法定相続情報証明を申請した人(申出人)しか再交付の申請はできません。
再交付のときには申出人の本人確認書類が必要です。
なお、再交付の期間は申し出の翌年から5年です。

 

3.こんなとき
①相続人が複数いる場合
相続人が複数人いる場合は、1人で申請をすることも可能ですが、後々再交付の場合も考えて複数人で申請しておいた方がいいでしょう。
申出人が1人だけですと、その人しか再交付できないからです。

②どこで使える?
法定相続情報証明は戸籍の束の代わりとなるものです。
使える所は金融機関、法務局、税務署等です。
令和2年10月から年金の手続きでも利用できるようになりました。
これらの所で相続手続きをする場合に戸籍の代わりに使用することができます。
ただ金融機関の中には、この書類を認めていないところもありますので、事前に確認してください。

 

4.注意点
①図の中に相続人の住所がない場合は、実際の相続手続きで住民票を求められます。
法務局の手続きでは相続人の住所の表記は任意ですが、必ず相続人の住所は入れるようにしましょう。
②税務申告の場合は、実子か養子など続柄を記載しておく必要があります
「子」では認められません。
③遺産を実際に誰が取得するのかを決めるのは遺産分割協議書等の書類です。
遺産分けの手続きには別途、これらの書類が必要です。

 

5.終わりに
ここまで法定相続情報証明について見てきました。
何度も同じ書類を役所で取る手間を考えると、便利なツールと言えます。
相続手続きの負担軽減の一助になるでしょう。