相続人不存在の手続き

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1.相続人不存在とは
相続人となるのは配偶者、子供、直系尊属、兄弟姉妹やその代襲者ですが、被相続人にそのような者がいない場合があります。
または相続人となる者は存在しているのですが、相続放棄をした結果として相続人が不存在となる場合があります。
ここでは相続人が不存在となった場合の手続きについて見ていきます。

2.相続財産管理人の申立
相続人は誰か、それは戸籍等で調査をすることになります。
その過程で相続人がいない、またはいても相続放棄をしている場合は家庭裁判所に相続財産管理人選任の申し立てを行います。
申立権者は利害関係人または検察官となっています。
利害関係人の具体例としては債権者や被相続人の財産管理等をしていた後見人などが挙げられるでしょう。
申立の段階で必要書類を提出し、予納金を納めます。
予納金の額はケースバイケースですが、100万円以下となることが多いです。
この予納金の中に官報公告費用や相続財産管理人の報酬が含まれています。
また相続財産管理人は、たいてい弁護士が就任します。

3.管理人選任後の手続きの流れ
相続財産管理人が選任されますと、2回官報公告を行って相続債権者への債権申出等を進めます。
その後、3回目の公告で相続人探索の公告を行います。
1回目の公告は2ヶ月、2回目の公告は2ヶ月、3回目の公告は6ヶ月の期間を要しますので、この段階で3回の公告と10ヶ月の期間が必要となります。
それが終わると特別縁故者の公告が行われます。
特別縁故者とは法定相続人ではないけれど、被相続人の療養看護をしていたり生計を共にしていた者のことを言います。
内縁関係にあったような場合が、この特別縁故者に当てはまります。
この申出の期間は3ヶ月です。
これらの一連の手続きが終わり、誰も申出を行わなかった場合には国庫へ帰属する形になります。

4.共有不動産はどうなるか
もし財産、例えば不動産が共有になっていて、共有者の一方が死亡し相続人が不存在であった場合は、一連の手続きを経て「特別縁故者不存在確定」という登記原因で持分移転登記を行います。
被相続人が死亡した時点で直ちに持分移転登記ができるわけではありません。

5.遺言という方法
このように、相続人不存在になるような場合は13ヶ月という期間を要し、予納金も高額になります。
被相続人に法定相続人が居らず、または居たとしても誰か他の人(例えば、内縁関係にある人)に財産を引き継ぎたいような場合は、遺言を作成する方が妥当かと思います。

6.終わりに
ここまで、相続人不存在の手続きについて見てきました。
相続人がいるのか判然としないケースは、相続関係に複雑な事情の絡んだ場合が多く見られます。
また簡単に処分できない不動産があるなどして対応が難しい場合もあります。
弁護士に相談して交渉や手続きを進めていく方が、手続きは順調に進んでいくものと思われます。