税理士が自己破産したらどうなるの

写真はお客様から事務所に届いたお菓子。事務所のみんなでおいしくいただきました。

話は変わりますが、税理士が自己破産をしたらどうなるのか、今回は少々物騒な話になります。税理士ではありませんが、前に大手の弁護士法人が倒産したニュースを見た人も多いと思います。

士業は地味だけどくいっぱぐれのない仕事だとイメージする人もいるらしいのですが、それはもう過去の話。税理士をはじめ、士業でも倒産する可能性がある世の中です。

今回は税理士が自己破産したらどうなるのか、お話してみたいと思います。

 

 

1.税理士が自己破産すると資格制限あり

税理士法という法律があるのですが、税理士法第4条には、欠格事項が説明されています。欠格事項というのは「この場合には税理士になれない」というものなのですが、「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」が含まれています。

ちなみに復権というのは、破産者ではなくなることです。一定の期間が経過する、あるいはしかるべき手続を行うと、破産者ではなくなります。

自己破産してしまうと、税理士の仕事はできなくなりますが、しかるべき手続きをふみ、一定の期間が過ぎれば、もう一度税理士としての仕事ができるようになります。

 

 

2.税理士の債務整理と資格制限

さて、税理士が自己破産してしまった場合には税理士の資格が制限されてしまうわけですが、債務整理の方法は自己破産だけとは限りません。

債務整理の方法として任意整理や個人再生という方法もあります。任意整理個人再生は、資格制限がありませんので、税理士としての仕事を続けることができます

 

 

3.税理士事務所に勤務している場合はどうなるの?

税理士の中には、税理士事務所に勤務している税理士もいます。この場合には、税理士事務所を辞めなければいけないのでしょうか?

少しややこしいのですが、自己破産をすると税理士としての仕事はできませんが、税理士事務所の事務や受付などは行えます。その税理士事務所で働き続けることができるかは、その事務所の方針によります

例えば、「自己破産したとはいえ、慣れている人にはそのまま働いてもらいたい」と思う場合には、税理士としての仕事はできなくても、事務などの仕事を行うことは可能です。

しかし「税理士としての仕事ができないなら戦力が減ってしまうので、ほかの税理士を雇うことにしよう。」という方針であれば、最悪の場合解雇されてしまうかもしれません。

どちらにしても、勤務先の事務所に影響を与えるので、自己破産をする前に上司に相談するほうが良いでしょう。

自己破産すると法人役員にはなれないの?

少し前ですが、自己破産後に行政書士試験を受験し、現在は行政書士になられている方のライフストーリーを読む機会がありました。ちなみに行政書士は「破産者で復権をえない者」は登録ができませんので、試験合格だけではなく復権を得るまでのご苦労もあったことでしょう。

個人的には行政書士試験受験より、税理士試験のほうが魅力を感じています。税理士試験に全科目合格したら、そのあとに行政書士試験を受験したいです。

自分の周りには「士業になるより会社に勤めたほうがいい」という人のほうが多く、会社に役員として残り、数年は役員報酬をもらって…と計画している人も何名かいらっしゃいます。さて、「自己破産すると、会社員になれても法人役員にはなれない」という話も聞きますが、これは本当でしょうか。

 

 

1.取締役になれないのは?

会社役員というと、取締役をさす場合が多いのですが、取締役になれないのはだれか、お話しします。

・法人 

まあ当然といえば当然ですね。

・成年被後見人、被保佐人など

判断能力が十分ではなく、サポートが必要な方々です。もし取締役就任後、成年被後見人や被保佐人になると、取締役の地位を失ってしまいます。

長くなるので割合しますが、会社法、その他の一定法律に関する罪を犯し、刑に処せられ執行を終わってから2年が経たない人なども該当します。 

取締役になれない人の要件は、会社法で決められていますが、破産者は含まれませんので、自己破産をしていても、取締役になること自体は可能です。

国は再チャレンジを応援しようというという考え方をしています。

 

 

2.取締役になった後、自己破産するとどうなるのか

さて、逆のパターンはどうでしょうか?

取締役に就任後、自己破産してしまった場合についてお話します。今度は民法のルールが適用されます。民法では、取締役は会社と委任契約を結んでいると考えており、民法653条では、委任契約の終了について規定しています。

  • 委任者、受任者どちらかの死亡
  • どちらかが後見開始の審判を受けた場合
  • どちらかが破産手続開始の決定を受けた場合

よって取締役就任後に自己破産した場合、取締役を退任することとなります。

 

 

3.取締役にはなれても一定の制限があるもの

さて、会社法のルールだけを見れば、破産者でも会社の取締役に就任すること自体は可能です。しかし別の法律で制限を受けるものがあることも忘れてはいけません。

例えば、宅地建物取引業の許可などは、宅地建物取引業法のルールも守らなければいけません。宅地建物取引業法では、「破産し復権を得ない者」は欠格要件に該当してしまい、宅地建物取引業許可の取得ができなくなります。

もし、会社の取締役の一人が自己破産しているような場合、その人を取締役から外すことになるかもしれません。破産者であっても取締役にはなれますが、別の法律で制限されていないか、確認したほうが良いでしょう。

インボイス制度のせいで廃業が増えるって本当?

相談料の支払と一緒に、「ふるさとのみかんです」とおいしいミカンの差し入れをいただきました。ありがとうございます。

さて最近、「インボイス制度のせいで廃業する事業主が増えるってうわさがあるんだけど、本当なの?」という質問を度々お受けすることがあります。

そんなうわさがあるとはびっくりです。なぜそんなうわさになってしまうのか、廃業が増えるといううわさは本当なのか、今日はお話ししていきたいと思います。

 

 

1.インボイスがないとこんなデメリットが!

最初に説明をしておきたいのが、インボイス制度の登録は任意であり、強制ではない、ということです。

やりたくなければやらなければいいんじゃないの?というご意見もありそうですが、「インボイス登録をしないデメリット」があるのです。

一番のデメリットとしては、消費税が多くかかってしまうことです。

え?払うのは自分じゃなくて、お客さんなんだから知らないって?そうはいきません。

お客さん側からすれば、

「消費税が増えるのは困るな。インボイス登録してくれていたら、消費税がもう少し小さな金額で済むのに」

ということになります。

もしこれまで長いお付き合いであったとしても

「これからインボイス登録をしている業者とお付き合いすることにします」

と言われてしまうことも考えられます。そうすれば、今後の取引をしてもらえなくなるなるのです。

もし取引は続いたとしても、

「消費税分値下げしてくれませんか?」

と言われてしまう可能性もあるかもしれません。

 

 

2.廃業が増えるといわれるのはなぜか

インボイス登録をしないデメリットについては、少しご理解していただけたと思います。「それと廃業がどう関係するの?」という疑問についてこれからお話しします。

乱暴な言い方ですが、インボイス登録をすることにより、これまで消費税の支払いが必要なかった事業者が、消費税を支払うことになりますので利益が減ります。「これ以上利益が減ったらやっていけない」と考える事業者様も少なくないでしょう。実際に「この機会に廃業しようかな」という話も耳にします。

また、インボイス登録をしなかった結果、これまで取引のあった得意先との取引がなくなれば、売り上げが落ち込んでしまい、やはり利益が減ってしまうのです。

今後どのように営業していくかにもよりますが、実際に廃業する事業者が増える可能性は否定できないといえます。本日もお読みいただきありがとうございました。 

インボイス登録 しなくちゃいけないの?

個人事業主やフリーランスで働いている友人が多いのですが、「うちはインボイス登録しなくちゃいけないの?」という相談が増えています。今日はお蕎麦屋さんでランチをしながらそんな話をしてきました。

正直な話、「この職種はインボイス登録はしなくていい」ということは言えません。インボイス登録が必要か、そうでないか、どうやって決めるのでしょうか?

今回はインボイス登録が必要なケース、不要なケースについて、お話していきたいと思います。

 

 

1.一応「任意」のインボイス登録

インボイス登録は義務ではありません。よって、インボイス登録をしなくても、違法になるわけではないのです。

しかしインボイス登録をしないと、相手側は消費税の控除ができずに迷惑がかかってしまい、これからの取引に影響が出てしまうので行うという事業者が多く、泣く泣くインボイス登録を行う事業者がいるのも忘れてはいけません。

 

 

2.お客様がほぼ一般消費者の場合

さて、お客様のほとんどが一般消費者の場合、インボイス登録を行わなくても誰も困りません。その理由は、消費税の確定申告を行わないからです。小売店の中には、このパターンに該当するお店も多いと思います。

また、飲食店の場合にもお客様のほとんどが「一般消費者」の場合には、インボイス登録は必要ないかもしれません。ただ、企業などが接待で使用することが多いお店には、インボイス登録が必要になる可能性が高く注意が必要です。

 

 

3.お客様の了承が得られるか

いろいろ考えて「インボイス登録はしたくない」と考える場合、相手側がどのように感じるかも、無視することはできません。

というのは相手側は消費税の控除ができないので「インボイス登録をしないなら、今後の取引はしない」と言われてしまうかもしれないからです。

もちろんお客様からの了承が得られれば、インボイス登録を行わないということも可能ですが、その場合にも「今後はインボイス登録をしているところと取引をします」と言われてしまうかもしれない、リスクを負うことになります。まあ、誰しも損はしたくありませんので、仕方のない話かもしれませんね。

 

 

3.インボイスの有無は顧客次第?

インボイス登録をしなくてはいけないのか、今回はそんな話を書いてみました。法律上はインボイス登録は義務ではないため、インボイス登録をしなくても直ちに違法になるわけではありません。

さらに取引先との関係によっては、インボイス登録をしなくてもよいかもしれません。お客様が一般消費者のみである場合、そして今後もその状態が続く場合には、インボイス登録は不要でしょう。

しかし企業が相手の場合には、今後の取引に影響が出ないか、慎重に考えたほうがよさそうですね。

自己破産すると携帯電話を持てなくなるの?

携帯電話はかつては贅沢品でしたが、今やもうほぼ生活必需品と言ってもよいと思います。

しかし、自己破産をすると携帯を解約されるのではないか、新たに携帯電話を契約もできなくなるのではないかと心配し、借金があるのに自己破産に踏み切れず悩んでいる方もいらっしゃるようです。

今回は自己破産すると携帯電話を持てなくなるか、書いていきます。

 

1.自己破産をしても基本的には携帯を持つことは可能

結論から書いてしまいますが、自己破産をしても携帯を持つことはでき、自己破産したから携帯を解約されることは基本的にありません。

ご存知の方も多いと思いますが、自己破産を申し立てる前や自己破産の手続き中は、一部の債権者のみに支払いを行ってはならないというルールがあります。

上下水道代や光熱費、家賃などのような生活に必要なサービスの対価を支払うことは、このルールに該当しません。携帯料金もこういった生活に必要なサービスの対価に含まれると考えられています。

滞納なく携帯料金を支払っている限り、携帯を解約される心配はありません。

 

 

2.端末は処分しなくていいの?

自己破産をすると、高価な財産は処分しなくてはいけません。しかし一定額(一般的に約20万円)以内の財産は手元に残すことができます。

本来なら破産をした場合には、全財産をお金に替えて債権者に配当します。そして残った負債を免除してもらうシステムですが、破産者も生活をしていく必要がありますので、一定額以内の財産は「自由財産」として手元に残しておくことが可能です。

最近のスマホ端末は高額なものもありますが、二十数万円もするものはまずないと思います。そのような理由で、自己破産をしても端末を処分する必要はなく、携帯の端末はそのまま使い続けることができます。

 

 

3.携帯を解約するのはこんな時

基本的には、ここまで書いたように自己破産しても手持ちの携帯を使い続けることができます。しかし携帯が解約される場合もあります。最後の部分では、解約されるのはどんな時か書いていきます。

 

・利用料金を滞納している場合

滞納料金がある場合は、それは債務となり携帯電話会社も「債権者」となり、貸金業者など他の債権者と平等に扱うことになるので、携帯の滞納料金だけを優先して支払うことはできません。滞納した状態のまま、自己破産手続を行うことになります。

 

・端末代金を分割払いしている
携帯の端末代金を分割払いしている場合、端末代金の未払いが残っている状態で自己破産をすると、携帯を解約される可能性があります。端末代金を分割払いしている間、携帯電話会社は「債権者」となるからです。

このような場合、端末代金だけを優先して支払うことはできず、未払いが残った状態のまま自己破産手続をすることになります。

自己破産手続のために端末代金の分割払いを止めると、利用料金を滞納した場合と同様に扱われ、携帯電話会社から解約されてしまうので注意しましょう。

医療費の支払が厳しい!自己破産しかないのか

 

医療費や入院手術費用が高くなると、費用を支払に困る可能性も出てきます。そんな時には自己破産するしかないのでしょうか?

医療費の支払が厳しい場合、まずは金銭的な負担を軽減できる「公的」な制度の利用が利用できないか、考えてみましょう。

医療費や入院手術費用の支払が厳しい場合に使える「公的」制度の代表的なものをいくつか紹介します。

 

1.高額療養費制度

高額療養費制度は、1カ月の医療費や入院手術費用の支払いが自己負担限度額を超えた場合、その超えた部分(高額療養費)が、後から戻ってくる制度です。

自己負担限度額は平均的な収入の人の場合、1ヶ月に8万円程度と言われていますが、年齢や収入によって異なります。なお、高額療養費が戻ってくるまでには、3カ月程度かかりますので、ご注意ください。

高額療養費制度は一時的には高額の支払いが発生しますが、健康保険組合などに健康保険限度額適用認定証の発行を申請し、医療機関に提示した場合、最初から医療費の支払いを自己負担限度額までに抑えられる場合もあります。


2.高額療養費貸付制度

高額療養費貸付制度とは、高額な医療費の支払いのため、資金が必要となった場合、先ほど書いた高額療養費が戻ってくるまでの間、無利子でお金を借りられる制度です。

健康保険限度額適用認定証を提示すると、医療費の支払いを自己負担限度額までに抑えることも可能です。しかし対応していない医療機関もありますので、その時に高額療養費貸付制度を利用します。

注意点として、高額療養費貸付制度で借りられるお金は、高額療養費支給見込額の8割相当額であり、事故負担額がゼロになるわけではありません。


3.健康保険限度額適用認定証

健康保険限度額適用認定証を提示すると、医療費の支払いを自己負担限度額までに抑えることが可能になる制度です。入院だけでなく、外来の場合であっても適用されます。

高額療養費は後から戻ってくるものですが、健康保険限度額適用認定書はあらかじめ手続をしておけば、支払そのものを抑えることができる制度です。

健康保険限度額適用認定証の発行を受けるためには、限度額適用認定申請書などの必要書類を健康保険組合などに提出する必要があります。ただし、保険適用外の医療については対象外になるので、注意が必要です。

 


4.傷病手当金

傷病手当金とは、病気やケガで休業している従業員が勤め先から給料の支払いを受けられない場合に、支給される手当金です。

個人事業主など、国民健康保険に加入している場合は制度の対象外になります。連続した3日間仕事を休み、休業してから4日目以降が支給対象となります。

 
5.生活保護

収入がない場合、生活保護も手段の一つです。生活保護は医療費を負担する必要がありません。生活保護は生活の状況・資産の状況・収入の状況などが調査されることや、ケースワーカーに状況を報告する義務があります。

生活保護は国民の権利です。該当する場合には、恥ずかしいと思うことなく活用したい制度です。もし病気療養のために生活保護を使う場合には、まず体調を治すことに専念しましょう。
 

借金を相続しないための手段 相続放棄について

 

相続と聞くとどんなイメージを持つでしょうか?土地や建物などの不動産を受け継いだり、遺産としてお金をもらうことを想像する人が多いかもしれません。

 

しかし、遺産の中にはマイナスのものも含まれます。要するに借金は本人が死ねばそれでおしまいではなく、借金は相続人に引き継がれてしまうのです。もちろん借金を引きついてそのまま支払う人もいます。借金の金額が少なければ支払ってしまうことも珍しくありません。さらに事業を経営している場合、事業に関係するの借金を引き継ぐのも良くある話です。

 

しかし自分と全く関係のない借金なんか、引き継いで払いたいと思う人はいません。そんな時は、相続を放棄することができます。相続放棄は家庭裁判所に書類を提出しますが、どんな手続か具体的に書いていきます。

 

 

1,  必要な書類をそろえる

相続放棄に必要な書類は、下記のとおりです。

 

・相続放棄申述書 

これは「自分は相続を放棄する」という意思表示を記した書類です。書式は裁判所のホームページからもダウンロードが可能です。甲府地方・家庭裁判所のものですが、相続放棄申述書の書式のリンクがありますので、ぜひご覧ください。

相続放棄の申述関係書式 | 裁判所

 

被相続人(亡くなった人)の住民票除票または戸籍の附票

該当する市区町村役場に行くことが難しい場合には、郵送でも請求できます。郵送での請求の仕方は、多くの場合各市区町村役場のホームページに記載されています。また、ホームページを見てもわからない場合には、電話で尋ねれば請求方法や手数料を案内してもらえます。

 

・戸籍謄本

申立人の戸籍謄本の他、亡くなった人が死亡したことがわかる戸籍謄本が必要になります。申立人が亡くなった人とどのような関係であったかにより、用意する戸籍謄本類が若干異なります。(先ほどの裁判所のリンクにも説明があります。)

 

 

2,  遺産の調査

相続放棄は、一度してしまうと「やっぱりやめます」と取り消すことができません。借金がいくらくらいあるのか、プラスの遺産はどのくらいあるのか、きちんと調べてから相続放棄の手続をしましょう。

 

 

3,  相続放棄ができないのはどんな時か

最後に相続放棄ができないのはどんな時か紹介します。

 

・熟慮期間を過ぎた場合

相続するか放棄するか、考える期間は熟慮期間と呼ばれています。一般的に自分が相続人となったことを知った日から3か月以内と言われていますが、延長できる場合もあります。

 

・遺産を一部使う、売る、隠すなどした場合

遺産の一部を使ったり売ったりした場合には、相続したものとみなされますので注意しましょう。どうするか決まっていない遺産は、扱いを慎重に行うことをおすすめします。

親が自己破産! 子どもの学費はどうなるのか

 

親の自己破産により、子どもの学費の支払に影響が出ることはあるのでしょうか? 

奨学金を借りている場合には、影響する可能性を否定することはできません。

 

奨学金を借りていない場合であっても、親が自己破産する場合、子どもへの影響はゼロのわけがありません。

 

 

1,  学費滞納による強制退学の可能性

親が破産した場合、子どもの学費が払えず滞納してしまうこともありえます。その場合には、学校を辞めさせられる可能性があります。公立の学校では起きにくい問題ですが、学費の高い私立学校の場合は、公立の学校に比べて授業料が高額になるため、現実に起こりうる問題です。

 

私立高校の場合には、年間100万円以上の学費がかかる学校も珍しくありません。もちろん私立大学に進学した場合には、さらに学費が高額になります。

 

家計が苦しい家庭も多く、学費の支払いが困難になった場合には、学校側から自主退学をするように、迫られることがあります。親の自己破産後、学費が払えなくなったため、結果的に学校に通えなくなるという子どもも実際にいます。

 

 

2,  学校に通い続けるためにどうするか

親が自己破産したからといって、子どもが全員学校に通えなくなるわけではありません。子ども自身が奨学金を借りられる可能性があります。親が破産しても、機関保証を利用して奨学金を借りられる場合もあるのです。

 

 

さらに親自身が自己破産で免責を受けた後、新たに得た所得財産で支払いができる場合もあるかもしれません。また、学校側と話し合うことにより、分割払いが認められることもあるかもしれません。

 

学校によっては、入学金や授業料などの免除申請ができる場合もありますので、事前に確認しておく必要があります。

 

 

3,  引越しの可能性と子どものフォロー

今回は親が自己破産した場合、子どもの学費がどうなるのか、書いてきました。最後に学費とは直接関係ないかもしれませんが、引っ越しについても書きます。この問題も無視することはできません。

 

親が自己破産をした場合、持ち家は原則として処分する場合が多いことでしょう。また賃貸物件であっても、生活を立て直すために今より家賃の低い物件へ引っ越すこともありえます。引越しに伴い転校が必要になる場合もあるので、子ども自身が大きなストレスを抱える可能性があり、お金の問題とは別の問題が発生します。

 

また、転校しなかった場合でも、急な引越しでストレスを抱えてしまうこともあります。親の側も自己破産は大変ですが、子どもたちをどうフォローするか、考えておく必要があると思います。学費の問題を無視することはできませんが、子どもができるだけショックを受けないよう、配慮が求められるでしょう。