相続と聞くとどんなイメージを持つでしょうか?土地や建物などの不動産を受け継いだり、遺産としてお金をもらうことを想像する人が多いかもしれません。
しかし、遺産の中にはマイナスのものも含まれます。要するに借金は本人が死ねばそれでおしまいではなく、借金は相続人に引き継がれてしまうのです。もちろん借金を引きついてそのまま支払う人もいます。借金の金額が少なければ支払ってしまうことも珍しくありません。さらに事業を経営している場合、事業に関係するの借金を引き継ぐのも良くある話です。
しかし自分と全く関係のない借金なんか、引き継いで払いたいと思う人はいません。そんな時は、相続を放棄することができます。相続放棄は家庭裁判所に書類を提出しますが、どんな手続か具体的に書いていきます。
1, 必要な書類をそろえる
相続放棄に必要な書類は、下記のとおりです。
・相続放棄申述書
これは「自分は相続を放棄する」という意思表示を記した書類です。書式は裁判所のホームページからもダウンロードが可能です。甲府地方・家庭裁判所のものですが、相続放棄申述書の書式のリンクがありますので、ぜひご覧ください。
・被相続人(亡くなった人)の住民票除票または戸籍の附票
該当する市区町村役場に行くことが難しい場合には、郵送でも請求できます。郵送での請求の仕方は、多くの場合各市区町村役場のホームページに記載されています。また、ホームページを見てもわからない場合には、電話で尋ねれば請求方法や手数料を案内してもらえます。
・戸籍謄本
申立人の戸籍謄本の他、亡くなった人が死亡したことがわかる戸籍謄本が必要になります。申立人が亡くなった人とどのような関係であったかにより、用意する戸籍謄本類が若干異なります。(先ほどの裁判所のリンクにも説明があります。)
2, 遺産の調査
相続放棄は、一度してしまうと「やっぱりやめます」と取り消すことができません。借金がいくらくらいあるのか、プラスの遺産はどのくらいあるのか、きちんと調べてから相続放棄の手続をしましょう。
3, 相続放棄ができないのはどんな時か
最後に相続放棄ができないのはどんな時か紹介します。
・熟慮期間を過ぎた場合
相続するか放棄するか、考える期間は熟慮期間と呼ばれています。一般的に自分が相続人となったことを知った日から3か月以内と言われていますが、延長できる場合もあります。
・遺産を一部使う、売る、隠すなどした場合
遺産の一部を使ったり売ったりした場合には、相続したものとみなされますので注意しましょう。どうするか決まっていない遺産は、扱いを慎重に行うことをおすすめします。