自己破産後に起業資金目的で利用できる融資

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1.はじめに

前回から自己破産した経験を持つ人が
利用できる融資について解説しています。

この記事では、自己破産後に起業資金目的で
利用できる融資について見ていきます。

 

2.自己破産後に起業資金目的で利用できる融資
起業目的であれ、そのほかの目的であれ、
自己破産した人が銀行から融資を受けることは非常に難しくなります。
実際、信用情報機関に自己破産の記録が登録されている間は、
民間の金融機関から融資を受けることはできません。
それでは、民間の金融機関以外に
資金調達する方法はないのでしょうか。
実は、公的な機関であれば、
自己破産した人であっても利用することのできる融資制度があるのです。

 

再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)
政府系金融機関である日本政策金融公庫が
実施している融資制度の1つです。
民間の金融機関を利用できない人であっても、
利用することのできる制度となっています。
そのため、自己破産した人が
真っ先に検討すべき資金調達方法なのです。
この制度の特徴は以下のようになっています。

 

利用できる人 新たに開業する人または開業後7年以内の人で、以下の要件すべてに該当することが必要です。
①廃業歴がある個人または廃業歴を有する経営者が営む法人である。
②廃業時の負債が新たな事業に影響を与えない見込みである。
③廃業の理由や事情がやむを得ないものである。
融資限度額 7200万円以内(このうち運転資金は4800万円)となっています。
利率 令和3年1月4日現在、年利2.06~2.45%
ただし、特別利率が適用される場合があります。
返済期間 設備資金については20年以内、運転資金については7年以内となっています。

参照:再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)|日本政策金融公庫



融資を受ける際に、
廃業の理由や事情について問われることとなります。
借金の返済ができずに夜逃げして、
その後の法的整理を行っていない場合や、
不法行為が原因で廃業した場合は利用できません。
また、ここには明記されていませんが、
融資金額の上限は自己資金の2~3倍程度になると考えられます。
たとえば、運転資金の上限である
4800万円の融資を受けるためには、
自己資金が少なくとも1600万円程度必要ということです。
また、担保や保証人については要相談となっていますが、
基本的に必要になるものと考えておきましょう
ただ、自己破産した後は担保となる財産を保有していないため、
誰かに保証人になってもらう必要があります。
この時、後で保証人となってもらった人とトラブルにならないよう、事情を説明しリスクを理解してもらうようにしましょう。

 

信用保証協会付融資
信用保証協会とは、中小企業や小規模事業者が融資を受ける際に、
金融機関に対する返済を保障してくれる公的機関です。
民間の金融機関で普通に融資を受けることが難しい場合でも、
信用保証協会の保証があれば融資されることはよくあります。
そのため、自己破産した人に限らず、
中小企業などが融資を受ける際に信用保証協会を利用することが
条件となる場合があるのです

信用保証協会を利用すると、
会社が返済に行き詰っても信用保証協会が金融機関に代わりに返済を行います。
その後、信用保証協会は会社に対して
金融機関に対して返済した金額を請求することとなります。
信用保証協会を利用したからといって、
融資の返済が軽減されるわけではないので、
勘違いしないようにしなければなりません。
ただ、融資を受ける際に信用保証協会を利用することが
条件となっているため、利用しなければならないのです。

信用保証協会の保証を受けるためには、
信用保証料を支払う必要があります
信用保証料率は、事業者の財務状況などを審査し決定されます。
各保証協会によって違いがあることも考えられますが、
年率0.45%~1.90%程度となっています。
原則として、借入を実行する際にまとめて支払う必要があるため、
その負担について考慮しておく必要があります。

また、融資の金額や利率については金融機関ごとに決められています。
利用条件についても、各金融機関で定められているため、
実際に相談してみましょう。
なお、利率については、令和3年1月現在、
主な金融機関では以下のようになっています。

 

固定金利(返済期間5年以内) 1.6%以内
固定金利(返済期間10年以内) 2.0%以内
変動金利 1.675%程度



日本政策金融公庫の再挑戦支援資金とは違い、
変動金利を選択することができるのが大きな特徴です。
金利負担は、再挑戦支援資金より少なくなると考えられます。
一方で、保証料の負担は
信用保証協会を利用した場合だけに発生します。
保証料まで含めて考えて、
どちらにメリットがあるのか検討するようにしましょう。