災害時のローン返済に使える制度

 

2023年5月5日に能登地方で震度6強、5月11日の早朝には千葉県木更津市で震度5弱の、大きな地震が発生しました。被害を受けられた皆様には、心よりお見舞い申し上げます。

さて災害が原因で事業が傾いたり、ローンが返済できなくなる人も少なくありません。こんな時に利用できる制度があることをご存知でしょうか?今回は法人向けではなく個人の利用できる制度になりますが、自然災害債務整理ガイドラインについて、書いていきたいと思います。

 

1.「自然災害債務整理ガイドライン」とはどんなもの?

「自然災害債務整理ガイドライン」は、正式名称を自然災害による被災者の債務整理に関するガイドラインと言います。

これは自然災害によりローンを返せなくなった人を救済するためにある制度です。なおここで書いている自然災害は、災害適応法の適用を受けた災害とされていますので、その点は注意が必要です。

債務整理の際によく聞く「自己破産」や「個人再生」の手続きとは別の「特定調停」という手続きを利用し、借金の減額や免責を行います。
対象となる借り入れはこちらです。

  • 住宅ローン
  • 住宅のリフォームローン
  • 自動車ローン
  • 個人事業主向けの事業者ローン

 

2.ガイドラインを利用できる方

この自然災害債務整理ガイドラインを利用できる人は、下記に該当する人たちです。

  • 災害救助法が適用された自然災害の影響により、住宅ローンや自動車ローン(カーローン)、個人事業主の事業資金用の借り入れなどを返済できない方、または近い将来に返済できなくなくなることが確実と見込まれる方。
  • 破産手続等の法的倒産手続の要件に該当するなど一定の要件を満たした方。

なお法人の債務は、この制度の対象外となります。
さらに災害救助法が適用された市区町村以外に住んでいる方も、対象となる場合があります。

 

3.自然災害債務整理ガイドラインはどこで手続をすればいいの?

まずは「最も高額なローンを組んでいる金融機関」に対して「自然災害債務整理ガイドラインの手続きの利用を希望します」と申し出てください。

受付の窓口は、金融機関によって異なりますので、対象の金融機関に問い合わせて確認しましょう。金融機関では、下記の必要事項をヒアリングされます。

  • 借入先
  • 借入残高
  • 年収や資産(預貯金など)の状況

窓口に行く際は、可能な範囲で借り入れ状況がわかる資料を作り、持っていくことをおすすめします。

金融機関の同意が得られた後は、登録支援機関を通して手続を行います。

登録支援機関は弁護士や税理士等が該当しますが、弁護士に依頼する場合には、お住まいの地域の弁護士会に連絡して依頼することが可能なので、お早めに相談されることをおすすめします。