保証の改正点・公正証書が必要な場合が出来ました

f:id:zeirishiegg:20210921201533j:plain



1.保証債務の入り口は・・
金銭消費貸借契約等で出てくる保証人とは、
本来は主たる債務者の支払がない場合に支払義務を背負う立場にある者です。
主債務者に請求しないで保証人に請求してきた場合には、
まず主債務者に請求して下さいと言える権利が普通の保証人にはあります。
ところが、実務上はそのような抗弁権のない連帯保証であることがが大半です
中には、根保証という重いものもあります
保証人になって大変な思いをした、
破産したという話は星の数ほどあります。
ですが、それでも保証人になる人はいます。
中には銀行から融資を受けるために代表者が個人保証をする場合があります。
あるいは友人知人から頼まれて断り切れずに保証人になる人もいます
保証には補充性の他に、
軽率性・情緒性があると言われるのは、ここに起因します
そのため、近時の法改正で、入り口を制限しようと
保証のあらゆる所で改正が行われました。
ここでは、その改正点についてみていきます。

 

2.保証の改正点
まず、①保証債務は書面でしなければならないという点です
2004年の法改正で要式性を求められるようになりました。
口約束で安易に保証人になろうとするのを防ぐ手立てです。
次に、主たる債務者は事業のために根保証人になろうとしている人に対して、
資産状況を開示しなければならなくなりました
開示対象は自身の資産や他に借入がある場合は、それらが対象となります。
さらに保証契約締結後には、
保証人は債権者に対して主たる債務の履行状況について
情報を開示する義務を負うことになりました
また④債権者は、主債務者の期限の利益喪失があった場合は、
知った時から2ヶ月以内に保証人に通知をしなければならなくなりました
この通知を怠った場合は、
期限の利益喪失時から通知をした時までの遅延損害金を
保証人に請求することはできなくなりました

 

3.一定の場合には公正証書が必要になりました
この保証人保護の施策の目玉と言えるのは、公正証書の作成でしょう。
事業のために負担した貸金等債務の保証人(根保証人を含む)になろうとする者は、
保証契約締結前の1ヶ月以内に公正証書を作成しなければならなくなりました
保証人の代理人が手続することは許されず、
事後に追認することも認められません
減額な手続を設けて、安易に保証人になることを回避しているのです。
なお、この公正証書の作成後、1ヶ月以内に別に保証契約を結ぶ必要があります

 

4.終わりに
破産するのには色々な原因があります。
その要因の一つが保証人になってしまったという点でした。
1990年代後半に社会問題となった、
事業者ローン問題の一つに根保証等がありました。
それらの背景事情をくみ取って2020年の法改正で保証の入り口を狭め、
安易に保証人になることを法は防ごうとしているのです。
ただ、この手の問題は時間が経てば抜け穴ができてしまう可能性があります
やはり私たちが書類への署名押印に
日頃から気をつけることが先ずは大切だと感じます