破産すると職業制限はあるのか?

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1.破産すると職業制限はあるのか?
破産という言葉には思い響きがあります。
借金が返せなくなって裁判所に申し立てをして、
支払の義務を免責してもらう制度です。
この制度を利用することで支払の義務は免れますが、
信用情報には数年間記録が残りますから
借入は事実上できなくなるなどデメリットもあります。
それでは破産した人が会社の役員などに就任できるのでしょうか?
また会社の役員が自己破産した場合は、
役員を辞任しないといけないのでしょうか?
今回は破産と会社に関連する職業制限について見ていきます。

2.雇用契約について
まず会社と従業員の関係ですが、
これは雇用契約によって成り立っています。
会社が破産した場合は倒産したことになり、
雇用契約はそこで終了となります。
他方で従業員が破産しても、
原則として雇用契約は終了しません。
会社から解雇されることもありません。
ただ警備員など一定の職業は自己破産すると職に就けませんので注意が必要です。

3.会社の役員について
次に会社の役員について見ていきます。
会社の役員は取締役や代表取締役、監査役などがいますが、
この方達と会社との関係は委任契約になります。
会社から依頼を受けて会社の意思を決定し業務を執行する役割を担います。
そしてこの委任契約は委任者である会社、又は受任者である役員個人、
どちらかに破産手続開始決定があると委任契約が終了することになっています。
ところが、会社の役員については、
破産しても役員になれないという規定がありません。
要するに破産していても会社の役員を辞任する必要はありませんし、
就任することも可能です。
とはいっても、破産にはそれなりの事情があるはずです。
破産された方を会社の役員に迎える場合には、
その辺の事情を聞き取りする必要があるでしょう。

4.外国人の場合
2022年現在はコロナの影響で外国人の入国が難しい状況ですが、
国際化の要望を踏まえて会社の役員に外国人を迎える会社も増えてきたと思います。
以前は代表取締役のうち、
少なくとも1名は日本に住所を有していることが必要との制約がありましたが、
それも撤廃されました。
ただ注意したいことがあります。
外国人で債務整理を行うことは日本人と同様に可能ですが、
それをすることで在留更新の要件を満たさなくなる可能性があります。
在留には複雑な要件があるのですが、
「生活の安定性」という要件を満たさず在留更新できずに
役員を下りないといけないリスクがあるのです。

5.終わりに
ここまで破産した場合の会社と役員の関係について中心に見てきました。
この法律上は問題なくても他の法律でネックになるということが、
この場面では顕著に現れてきます。
会社法では問題なくてもと判断する前に資格要件は大丈夫なのかなど、
視野を広げて債務整理の方針を決めていきたいところです。