破産した後の生活を綴ります

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1.はじめに

自己破産後の生活について書く前に、破産前の生活について紹介したいと思います。
私は40代の会社員です。
大学を卒業してから営業畑を歩み、30を前に結婚。
子供が大きくなるのを見てマイホームの購入を決めました。
子供は2人。
妻は生活費の足しにと近くのスーパーにパートに出ておりました。
転落のきっかけは会社が業績悪化を理由にリストラを始めたことでした。
今であれば法律事務所に相談するなど他に選択肢があったのだと思いますが、
上司から肩を叩かれたときには「とうとう来たか」という思いがしました。
リストラされたことは妻に話しました。
妻は私を励まし、パートのシフトを増やしてくれました。
私も再就職に向けてハローワーク通いを始めましたが、面接にもたどり着けません。
そうこうしているうちに貯金がなくなり住宅ローンの支払いが滞り始め、
その返済のためにクレジットカードを使うようになり、
やがて消費者金融のカードを利用し始めました。
借金は気がつくと返せない金額にまで膨れあがってしまいました。
「もうダメだ」そのとき、たまたまテレビCMをやってた法律事務所に連絡して、
債務整理・破算申立を行うことを決めたのです。

 

2.破産後、家族はどうなったか?

さて、自己破産をすると生活はどうなるのでしょうか?
毎日借りては返し、借りては返しのスパイラルに陥っていたのですが、
その切羽詰まった状況はなくなり、心理的に落ち着いたように思います。
法律事務所に相談する前は、支払のことで頭がいっぱいで不安だらけでした。
もし手持ちの現金が硬貨だけになっていたら、どこかの店を襲ったかもしれません。
そういう物騒な気持ちがなくなったことが何よりありがたいです。
破産前には消費者金融からの督促の葉書や電話が頻繁に家に入るようになりました。
そのとき、家族との関係はかなり冷え込みましたが、
破産を決めて妻に土下座して詫びてからは、距離がすこし縮まったような気がします。子供2人も破産申立の前後は、
転校することも重なってかなり不安定な日々を過ごしましたが、
ようやく落ち着いたのか、勉強に本腰を入れるようになりました。
大学に行きたい、親は当てにならないから奨学金を取って進学すると明言されました。

 

3.破産後の生活はどうなるの?

やはり自己破産をすると家はあきらめざるを得ませんでした。
どうしても守りたいから無理を重ねたのですが、
結局差押えが入って競売手続きになり、他人が落札しました。
こういうのを落城と言うのでしょうか、
家を出て行かなければならないときの気持ち、
我が家だった家を見ながら妻や子供が見せた涙はいま思い出しても惨めになります。
自己破産の申立をすると官報という国の発行する新聞に自分の名前と住所が載ります。
自分が破産したということが否応なく掲載されてしまうのです。
とは言っても、日刊紙のように多くの人の目に留まるものではありません。
ですので、自分が破産したことを官報を見て知ったという友人知人は居ませんでした。
ただ、この新聞に名前が載ったときには、
どこからともなく「融資します!」というダイレクトメールが届くようになりました。きっと官報を見た悪質な業者が送りつけてきたのでしょう。

 

4.自己破産してもお金は借りられるか? 

法律事務所の弁護士さんにも言われましたが、破産すると融資は受けられません。
借りたお金を返さなかったのですから、それはやむを得ないでしょう。
その借りられない期間は、当面続きます。
信用情報機関という所が、そのような個人データを収集していて、
何年間か私が破産したという記録を残しているそうです。
当面、借りるつもりはないですが、子供が奨学金を得ても保証人にもなれません。
保証人は財産がある人というのが条件だからです。
そうなったら、私の親戚か妻を保証人にするしか方法はないかなと、
今では思っています。

 

5.最も知られたくない個人情報ですが、他人にバレますか?

破産したら、やはり人にバレてしまうのでしょうか?
「破産」それは他人にもっとも知られたくない個人情報です。
官報には載ると言いましたが、それ以上に他人に知られることはないようです。
というのも、どこかからその情報が漏れて、
他人に知れ渡っている形跡はないからです。
また破産したという記録は戸籍にも載りません。
警備員など一定の資格の必要な業種は破産手続き中は仕事に就けないそうですが、
復権すると仕事ができるそうです。
色々な人に迷惑をかけましたが、
公共料金や携帯電話の支払は止まらないようにしていました。
そのおかげで破産した後も、携帯電話は使い続けています。
とはいえ、新機種の分割払い等は難しいだろうと感じています。
車も査定に出すと金銭評価がつかない位、
金額が低かったので手元に置いておくことができました。

 

6.残された課題

こうやって見ると、ようやく生活が落ち着けるのかなと感じたりしますが、
私にも難しい問題があります。
それはマイホームを買って安定した収入がある頃は、
外食をしたり良い服を着たりしていました。
しかし破産したとなると収入に見合った生活をしなければなりません。
だけど、一度生活レベルを上げると、それを下げるのは中々難しいのです。
これは家族全員が抱えている問題でもあります。
また、借入の順序は銀行→クレジット会社→消費者金融→友人知人というルートをたどって債務整理に行くと聞いたことがあります。
私も同じ道のりを歩きました。
その結果、私の無理を聞いてくれた友人知人との距離はすっかり遠くなりました。
長い年月を重ねて築いた信頼は、私の一時の不徳で脆くも崩れ去ったのです。
その修復はできるのでしょうか。
40代は不惑の年と言います。
ですが、私は惑わずには居られません。